法話625

煩悩は大きく6種類

坂井町御油田・演仙寺住職 多田文樹

幸福を妨げるもの①

きょうは、煩悩について考えてみましょう。
煩悩とは、身を煩わせ、心を悩ますものという意味です。仏教では、これを細かく分析し、六つの根本煩悩に分けています。
第一は貧(とん)。これは自分にとって好ましいものを、むさぼり求める心。第二は瞋(しん)。これは、自分にとって好ましくないものを、憎み怒る心。第三は痴。これは道理に暗く、的確な判断ができずに、後になってぐちることであります。次に、第四は慢。これはうぬぽれの心。第五は疑。これは仏教の教えを疑う心。第六は悪見。これは仏教の真理に反する、誤った見解であります。
これらの煩悩が、次から次へと起こるために、私たちは満足感や幸福感を感じることができないのですが、心にもやもやがあって、気が晴れない時は、一体どの煩悩が原因となっているのか、考えてみてはいかがでしょうか。
いま挙げた六つの根本煩悩に当てはまらなければ、さらに細かく枝分かれした、二十の枝末煩悩が数えられています。
その一部を列挙すると放逸(欲しいままにしたい)、僻怠(けだい=なまけたい)、不信(信じない)、悟沈(こんじん=やる気がない)、悼挙(じょうこ=やる気がありすぎる)などです。
煩悩の種類を、たくさん羅例してしまいましたが、さて、自分に思い当たるものがあったでしょうか。仏教は、苦悩の原因を探るところから始まっていますから、仏教に照らして、自分の苦悩の本を尋ねてみることが必要です。

法話625挿絵

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