法話551

異なる宗教の世界観

大野市元町・円和寺住職 日種真隆

科学と宗教12

さて、その世界観が宗教によって異なるのですが、今それをキリスト教と仏教とを比較して考えてみたいと思います。
まずキリスト教では、
(自然も人間も万物も、あらゆるものは神によって造られ、神によって支配されている)
という世界観を持っています。
これに対し、仏教は、
(すべてのものは互いに因となり縁となり合って自らを形成している)
というのです。すなわち、キリスト教では「神による創造、支配」を説くのに対し、仏教では「縁起の法による自らの形成」を説くのです。
この世界観の違いが、そのまま地獄の問題にも連なっているのです。端的に言えば、キリスト教では、神が地獄を作ったのですが、仏教では仏さまが地獄を作ったとは決して言いません。それならば、仏教では地獄の世界の事をどう考えているのでしょうか。どう味わっているのでしょうか。私は今から次のような趣の深い話を通して、この問題を皆さんと味わって行きたいと思います。
-地獄の世界というものが、本当にあるのかないのか。この問題は何も近代科学が発達してから初めて疑問になったのではなく、もっと以前から多くの人たちの間で考えられて来たものです。そしていつの場合にも、在るという方と、無いという方とに分かれて果てしなく議論が続けられて来たに違いありません。そんな議論の果てに、昔ある村の青年が一人の和上(わじょう)さんを訪ねて行きました。

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