法話550

仏教の世界観理解を

大野市元町・円和寺住職 日種真隆

科学と宗教11

科学と宗教ということについて、私たちは大分考えて参りました。それぞれの立場というものが分かって頂けたと思います。
そこで、問題を一番最初の母親の質問に戻して、仏教では地獄の世界というものをどのように考えているのか尋ねてみたいと思います。そしてこのことが、仏教入門の第一歩になると思うのですが、それにはまず仏教の世界観というものを知って頂かねばなりません。宗教はみなその宗教独自の世界観を持っているので、それを理解する必要があるのです。
そこで、まずこの世界観という言葉の訳ですが、普通、世界といえば、日本とかアメリカなどいろんな国の集まりを言いますが、仏教では次のように考えています。
すなわち世界の二字を二つに分け、世は過去、現在、未来の三世という時間を、界は東西南北上下という空間を考え、生きとし生けるもの、すなわち衆生(しゅじょう)の住む時間、空間を世界と言っているのです。そしてそういう世界が、どのようにして出来ているのか、どのようにして成り立っているのかを考える…それを世界観というのです。
ところで、ここで注意したいことは、仏教ではこの「世界」を単に空間つまり場所としてだけでなく、三世という時間を考えているということと、それに人間を普通われわれが考えている人間というふうにとらえずに「衆生」として考えている点です。「衆生といわれる人間」…それが仏教の考え方です。

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