法話319

親鴛のご恩に感謝(90歳まで仏の道を説く)

坂井町御油田・演仙寺副住職 多田文樹

降誕会(ごうたんえ)

五月二十一日は降誕会、親鸞さまの誕生日です。親鸞さまは今から八百年ほど前の承安三年(一一七三年)、京都の日野の里にお生まれになりました。そして、おん年九歳の春なかば「あすありと 思うこころの あだざくら よはにあらしの ふかぬものかは」という歌をよんで出家され、比叡の山に入られました。
平清盛が滅び、武士が台頭する時代のことであります。そして二十九歳の折、山を下りて法然さまのお弟子となり、仏の願いの中に、万人が救われてゆく道を見いだされました。仏教が国や貴族の人たちだけのものであったのを、広く庶民のもの、生きる支えとなるものにしてゆかれたのであります。
しかしその後、朝廷の念仏弾圧により、法然さまは土佐へ、親鸞さまは越後へ、罪人として流し者にされてしまいました。そして、三十年もの長い間、雪深き北陸、風冷たき関東の各地をめぐられて、教えをひろめられたのです。その血のにじむごくろうは、とても筆や口で語りつくせるものではありません。

法話319挿絵

六十三歳のころ、京都に戻られた親鸞さまは、たくさんの本を書き残され、弘張二年(一二六二年)九十歳でお亡くなりになりました。
私たちは、自分の誕生日を祝うのと同様、人生の師となって下さる方の誕生日も、お祝いいたしましょう。そして、親鸞さまは、私のためにこの世にお生まれ下され、長いご苦労をされたと受けとらせてもらうとき、深いご恩が身にしみて感じられます。

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