法話316

真実との出会い(一)

坂井町御油田・演仙寺副住職 多田文樹

私は今は僧職にありますが、もとはある製薬会社の営業に就いていました。得意先を回り、少しでも自社製品を使ってもらうよう、勧めるのが主な仕事でしたが、時には競争のため、醜い方法も使いました。毎日毎日が仕事に追われ、善悪の判断をいちいちつける余裕はなかったのです。精神的にもくたくたでした。そんな時、慰めになったのは、時折帰るふるさと福井と、仏教との出会いでした。
われ世に超えし 願をたて たぐいなき道
さとらなん このねがいもし みたざれば
誓いてさとり えざらまし

法話316挿絵

法蔵菩薩の願いは、あっちでこずかれ、こっちでおびえながら、ピンポン玉のように押し流されていく自分にとって、一筋の光明といえるものでした。今まで、どっちの方向を向いてよいかわからず、とにかく、人の迷惑にさえならなければと思って生きてきた自分に、確かな方向を与えてくれたのです。

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