法話159

聞法 若い時こそ大切

円和寺住職 日種真隆

科学と宗教

「のう、ごえんさんも奥さんもそれから姉ちゃんらも、よーく聞いておくんねんせや。仏法は若いうちにこそ聞くもんやでのう。聞いただけはわがものになって下さるでの」。
-この間このおばあが一時間ほど買い物に行って帰って来た時でしたんにゃ。台所の流しの所で、うちの母ちゃんが何やらごしごしやっていますんにゃ。何をしているのやろうと思うてこのおばあがのぞき込むと母ちゃんが背中を向けて見えんようにしますのや。それで横へ回ってよーく見ましたら、このおばあが大事にしていた厚手の鍋(なべ)で黙って煮物をして、焦げつかせてしもうて、見つからんようにごしごしやっていましたんや。その姿を見た時に、ああ堪忍しておくれのう。お念仏を知らぬ者ならともかく、お育てに会うているこのおばあがまだあんたにそんな計らいをさせるということ、つまりはこのおばあの聞きようがまだ足りんかったからや。申し訳なかったのう。堪忍しておくれのうと言いましたら、うちの母ちゃんが、おばあちゃんあんたは何という…と言うて私の手を取って抱きついて来ましたんや…」

法話159挿絵

そう言いながら、そのおばあちゃんが、私の横にいた二人のお嫁さんの手を取ってその時の様子を再現してくれました。ふっと目を上げて、その二人のお嫁さんの顔を見たら、目の中に涙がいっぱいたまっているのです。無言の中に光る涙、じーんと、感動が浮かんできました。

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